着物の色合いは洋服と同じように感覚的に選べても、使われている柄やその意味についてはよくわからず、密かに不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、着物でよく見かける古典柄について、初心者さんでもわかりやすいように簡単に解説します!
着物の古典柄は難しいのではと思われがちですが、実はそんなことはありません。ポイントさえ掴めば応用が効きますし、一度勉強しておけば一生ものの知識になります。
また、自分の着物を整理するときはもちろん、レンタル着物で着物ファッションを楽しむ際にも、古典柄の知識は大いに役立ちます。
和文化の視野を広げるために、ぜひ参考にしてみてください。
目次
着物の古典柄とは?
まずは、着物における「古典柄」の概要について確認していきましょう。
古典柄は伝統的な文様のこと
古典柄は、呉服屋などによってさまざまな定義がなされています。
おおまかな共通点としては、「日本で古くから伝わる柄」ということ。
古典柄には縁起のいい・格式高い柄が多く並んでいます。
そのため現代では、成人式の振袖や、結婚式・パーティー向けの訪問着などで古典柄が意識的に取り入れられています。
吉祥文様と有職文様が有名
古典柄のなかでも有名なジャンルは、「吉祥(きっしょう)文様」と「有職(ゆうそく)文様」です。
吉祥文様の「吉祥」とは、「めでたいこと」「幸先のよいこと」「よい兆し」という意味を含んだ言葉です。
その名の通り、華やかな柄や末広がりで好印象の柄が多数あります。
有職文様の「有職」とは、平安時代に宮中の行事・儀式に携わっていた有識者から派生した言葉です。当時、中国から伝わってきた雅で品格ある文様は、位の高い人の装飾品に使われていました。
そのため、エキゾチックで優雅な印象の柄がそろっています。
吉祥文様と有志機文様は、必ずしも2つに分類できるものではありません。中国から伝わった格調の高い縁起柄は、吉祥文様とも有職文様ともいえます。
(今回の記事では、より理解しやすいように、分類して代表的な柄を紹介していきます)
古典柄とレトロ柄の違い
古典柄とレトロ柄は混同されがちですが、少し異なる点があります。
簡単にお伝えすると、以下のように分類できます。
色合いの派手さ:古典柄<レトロ柄
柄の繊細さ:古典柄>レトロ柄
歴史の深さ:古典柄>レトロ柄
古典柄は、多くの着物文化の土台となる、歴史ある繊細な柄や色使いが特徴です。
レトロ柄は、現代の七五三や成人式でも華やかに着飾れるように、ピンクレッド、ライトグリーンなど、鮮やかな色を使った大ぶりの柄がポイントです。レトロ柄は古典柄をベースにした柄が多いので、文様の意味については古典柄を参考にできます。
同じ「赤の着物」「グリーンの着物」を着たいと思っても、古典柄かレトロ柄かによって印象ががらっと変わります。
それぞれの好みや着用シーンによって、ふさわしい柄を選ぶようにしましょう。
着物の古典柄の種類とそれぞれの意味【吉祥文様】
古典柄のなかの吉祥文様について、代表的な柄をまとめました。
(おさらい:吉祥文様とは、縁起のいい意味が込められた柄の総称です)
松竹梅
松竹梅は、おめでたい吉祥文様の代表格。
松は、常緑樹であり過酷な環境でも千年も長生きすることから、長寿のシンボルといわれています。お正月の門松でも使われますよね。
竹は、短期間でぐんぐん伸びることから、成長や生命力を象徴しています。かぐや姫が竹から生まれ出てくるように、子供=竹の意味合いもあります。
梅は、早春にいち早く咲く、香り高い花。困難を乗り越えること、豊かさをイメージさせる植物として昔から愛されています。
鶴
鶴は長生きのシンボルとして知られています。
昔は、空を見上げると鶴が長い翼を広げて渡っていく様子もよく見られたのではないでしょうか。
鶴は美しいフォルムで、よい兆しを感じさせてくれます。「折鶴」や「松喰鶴(まつくいづる)」「鶴亀」など、アレンジ文様のバリエーションも幅広く存在しています。
鳳凰
鳳凰は、鶏・孔雀・蛇などを合体させた伝説の鳥といわれています。
想像上の鳥ではありますが、めでたいことを予感させる瑞鳥(ずいちょう)でもあります。
格式が高く、結婚式でもよく使われる豪華な柄です。
宝尽くし
宝尽くしは、その名の通り、縁起のいい宝物をたくさんつめこんだ柄です。
具体的には、打ち出の小槌(こづち)、宝袋(ほうたい)、丁字(ちょうじ)、隠れ蓑(みの)、鍵、巻物など。
隠れ蓑は「災難から隠す」、鍵は「富の蔵」「金運アップ」の意味が込められています。
それぞれの柄は小さくさり気なく描かれることも多いです。帯や着物に宝尽くしがついている際は、宝探しのような気分も味わえるでしょう。
着物の古典柄の種類とそれぞれの意味【有職文様】
古典柄のなかの有職文様について、代表的な柄をまとめました。
(おさらい:有職文様とは、中国から伝わったもので、格式高い人が使っていた柄の総称です)
亀甲
亀甲(きっこう)とは、亀の甲羅のような六角形が合わさった柄のこと。
中国では、亀は特別な霊獣として崇拝されていました。「鶴は千年、亀は万年」といわれるように、亀甲文様と鶴がセットで描かれる場合も多くあります。
花菱
花菱(はなびし)は、菱形のなかに花びら4枚を描いた文様のことを指します。
菱紋のなかでも優雅で美しい柄として、昔の格式高い人々の間で愛されていました。
また、亀甲と合わせて、「花菱亀甲」というアレンジ文様もあります。
着物の古典柄の種類とそれぞれの意味【自然文様】
古典柄には、自然を描いた文様もたくさんあります。代表的な柄をご紹介します。
青海波
青海波(せいがいは)は、古代ペルシャが発祥とされる文様です。
広い海が波打つ様子をイメージさせる柄で、「永遠に続く幸せ」や「平穏な暮らし」という意味が込められています。
雪輪
雪輪は、六角形の雪の結晶に丸みをもたせて表した柄です。
雪解けを連想するので、「豊作」のメッセージが込められています。
また、夏の暑い時期に涼をとるために、雪輪文様が取り入れられることもあります。
古典柄の着物を着るときは季節感にも注目しましょう
古典柄には、想像力や好奇心をかきたてる色とりどりの文様があります。
しかし、どの柄もいつでも使えるわけではありません。季節やイベントに合った古典柄を選択するようにしてください。
季節やタイミングを選ぶ柄
着物の基本は、洋服と同じように「先どりファッション」です。
季節より少し早めの柄や着物はOKですが、時期が遅れた柄や着物はあまりふさわしくないと考えられています。
特に、草花が描かれた柄には注意が必要です。
例えば、桜や藤の柄は春の定番。どんなにすてきな着物でも、秋に着るのは控えた方がよいでしょう。
夏だと紫陽花、桔梗(ききょう)。秋は菊、紅葉。冬は松、梅などが挙げられます。
季節を問わない柄
古典柄には、1年を通じて使用できる柄もあります。
特に、動物や道具類の柄は通年楽しめるものが多いです。
例えば、宝尽くし、扇、鶴亀、鳳凰などは自由度が高いといえます。
ただし、袷や薄物など、着物の素材自体に季節性があるので、着物選びは慎重におこないましょう。
京都で着物をレンタルするなら「わぷらす京都」へお越しください
古典柄の特徴や代表的な文様について紹介してきました。
古典柄にはたくさんの種類があるので、一度に全部覚えようとする必要はありません。
着る季節やタイミングに合わせて、ひとつずつ理解していきましょう!
また、着物選びはプロに相談しながらおこなうと、TPOに沿ったおしゃれをスムーズに楽しめます。
京都のレンタル着物店「わぷらす京都」は、着物の時期・お客様の好み・お出かけ先などに合ったコーディネートを丁寧にご案内いたします。
昭和59年創業の呉服屋が営んでいるレンタル着物店なので、品質やデザイン性の高い着物や小物も多数そろえています。ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事の筆者
わぷらす八坂神社店スタッフ
小川彩菜
着物レンタルを通して沢山のお客様の笑顔のお手伝いをしたいと考えております。
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特にヘアセットが得意で、今人気のフェミニンヘアはお任せください。
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